九州電力は19日、新たな原発の建設を検討すると発表した。半導体工場やデータセンターの新設で電力需要が増えるとし、運転中に二酸化炭素(CO2)を出さない「脱炭素電源」としての原発の活用を進める必要があると判断。建設場所は示していないが、敷地に余裕がある川内原発(鹿児島県)での増設を念頭に置いているとみられる。
この日発表した2035年を見据えた経営の方向性を示す「経営ビジョン」に、「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置の検討」と盛り込んだ。前回19年に策定した計画では「(既存の)原子力を最大限活用する」としていたが、原発の増設に向けて一歩踏み出した形だ。
政府が2月に閣議決定した新しいエネルギー基本計画では、老朽原発を廃炉にした分だけ、他の原発の敷地でも原子炉を増やせるとした。九電は玄海原発(佐賀県)2基を廃炉にする一方、川内原発では3号機を建てるための敷地がある。3号機の計画は凍結中だが、政府は九電を念頭に「建て替え」を促す考えだ。
この日の会見には、6月に新社長に就く予定の西山勝・取締役常務執行役員が出席した。具体的な場所などは未定としたうえで、「技術的な検証も含めて革新炉に関して検討を進めていく必要がある」と述べた。ただ、金融機関などから資金を調達できるかは不透明だとして、「投資環境が整うかどうかみなければならない」との考えを示した。
一方、鹿児島県の塩田康一知…